朗詠

朗詠

朗詠とは、十世紀前半以降に成立したとされているものです。
現在言われている詩吟の先祖にあたるものといっても良いでしょう。この言葉はもともと中国の詩文に見える語の一つで、日本では菅原道真が初めて用いていたとされていましたが、これが歌謡の名称となるにいたるまでにはいくつもの段階があったのです。

朗詠は詩を作る会の際、講師によって読みあげられた作品を人々が吟詠していったことからはじまりとされているのです。特に天皇の作品は必ず臣下たちが吟詠していたので古くはこれらをさして朗詠と呼んでいたのです。

しかし、長和元年辺りから朗詠は、宮廷貴族のあいだに大いに流行していくことになったのです。
朗詠の名手たちの描写といったものは、とても見事なものだったのです。

また、宮廷歌謡としても朗詠が取り上げられていることもありました。
当初では、人が亡くなったあとの儀式や行事の際に、通常の音楽や歌謡といったものの代わりとしてしめやかで重々しい雰囲気をもつ朗詠が用いられたことがきっかけになったのです。

源氏物語のなかの朗詠の多くが、悲しい心情や深刻な状況をあらわす重大なものとしえｔも描かれており朗詠の本質をよく理解していたことが示されているのです。